78回のカンヌ国際映画祭で出品されますね。いったいどんな作品なのか気になると思います。先日結婚された二階堂ふみさんも出演されており話題になりどうですね!今回は詳しく照査してみました。
『遠い山なみの光』映画化の最新情報
映画化された『遠い山なみの光』の最新情報(2025年8月時点)です。
映画『遠い山なみの光』:今どこまで進んでいる?

公開予定
- 2025年9月5日(金)より日本全国で公開予定です。
国際映画祭への出品
第78回カンヌ国際映画祭にて、「ある視点(Un Certain Regard)」部門に正式出品されました。
フランスのプレスでは、5月15日にカンヌでワールドプレミアが行われたと報じられています。
キャスト・スタッフ
主演:広瀬すず(1950年代の悦子役)
共演:二階堂ふみ(佐知子役)、吉田羊(1980年代の悦子役)、松下洸平(三浦友和、カミラ・アイコら)
監督・脚本・編集:石川慶(『ある男』で日本アカデミー賞最多8部門受賞)
原作者・エグゼクティブプロデューサー:カズオ・イシグロ
製作形態:日本、イギリス、ポーランドによる3か国共同制作。
長崎でのプロモーション活動
監督・広瀬すず・吉田羊は2025年8月11日に長崎を訪問し、平和祈念像への献花や朗読会、学生との交流を実施。公開前の感慨や世界平和への思いが語られました。
原作者インタビュー公開
2025年8月15日(終戦記念日)には、カズオ・イシグロが戦争や長崎、今作のテーマについて語るインタビュー動画が公開されました。
まとめチャート
項目 | 内容 |
---|---|
公開日 | 2025年9月5日(金) |
映画祭 | カンヌ国際映画祭「ある視点」部門出品(5月15日ワールドプレミア) |
キャスト | 広瀬すず、二階堂ふみ、吉田羊、松下洸平、三浦友和ほか |
スタッフ | 監督・脚本・編集:石川慶 原作・EP:カズオ・イシグロ |
製作国 | 日本・イギリス・ポーランド合作 |
プロモ活動 | 長崎での献花・朗読会・学生交流 |
最新情報 | イシグロ氏のインタビュー動画(2025年8月15日公開) |
今後の注目ポイント
レビュー・評価:公開後の批評や一般の評価、興行成績なども注目です。
予告編:ウェブ上でも映像はすでに公開されています。興味があればご案内できます。
舞台挨拶・イベント:公開直前や公開後には、舞台挨拶やプロモーション企画がさらに展開される可能性があります。
キャスト分析:主要役者たち
原作者のカズオ・イシグロ自身もエグゼクティブ・プロデューサーとして参加しています。
主演は 広瀬すず(1950年代・長崎の悦子役)。
共演には 二階堂ふみ(佐知子役)、吉田羊(1980年代の悦子役)、カミラ・アイコ(ニキ役)、松下洸平(悦子の夫・二郎役)、三浦友和(緒方役)、柴田理恵、渡辺大知、鈴木碧桜などが出演。
二階堂ふみの役柄と演技について

凛とした佇まいと、主人公・悦子(広瀬すず)とのコントラストが印象的ですね。
二階堂ふみの役柄:佐知子とは?
二階堂ふみさんが演じるのは、1950年代の長崎で主人公・悦子が出会う「謎多き女性」、佐知子役です。佐知子は幼い娘とともに暮らす女性で、悦子がイギリスで見る夢にたびたび登場します。
物語上、この人物との出会いが、悦子の記憶やその後の人生に大きな影響を与えており、二階堂さん演じる佐知子は作中でも非常に重要な存在として描かれています。
演技について、二階堂ふみからの言葉
二階堂ふみさんは本作への参加についてこう語っています: 「当時の女性たちが何を抱えて生きていたのかを、登場人物を通じて感じていくような経験でした」。
また、石川慶監督は佐知子について、こう表現しています: 「ネタバレになってしまうので詳しくは話せないが、佐知子はこの時代に生きた女性としてもひときわ異彩を放つ、非常に重要な役。鮮烈な印象を残す必要もありながら、高い抽象度を求められる困難な役だった」。
このように、役としての難しさ(「高い抽象度」)と重要性を理解しつつ、二階堂さんがその役を深く把握して演じていることが、現場でも評価されているようです
広瀬すずが演じる役の解説

『遠い山なみの光』で広瀬すずさんが演じる 悦子(よしこ) の場面写真です。1950年代の長崎での生活風景が垣間見え、広瀬さんの凛とした佇まいが印象的です。
広瀬すずが演じる悦子とは?
広瀬すずさんが演じるのは、1950年代の長崎を生きる主人公・悦子。原爆を経験した後、傷を抱えながらも戦後の混乱期を懸命に生きる女性です。
当時妊娠中であり、傷痍軍人である夫・二郎(松下洸平)と共に暮らす日常や、復興期の社会の中で葛藤しながらたくましく生きる姿が、場面写真からも垣間見えます。
役どころの解釈と物語のテーマ
本作は“女性たちがついた嘘”を軸に進むヒューマンミステリーで、悦子が口を閉ざしてきた過去を娘・ニキの問いかけで語りはじめることから物語が動き出します。
悦子は、失われた過去と向き合う一人の母親として、語り手でもあります。1950年代と30年後の1980年代のイギリスという時空を行き来しながら、微妙な記憶の差異や葛藤が展開されていきます。
原作と映画との相違点
原作小説『遠い山なみの光』(A Pale View of Hills)と映画化作品(2025年公開)の主な相違点について、以下に整理してお伝えします。
1. 語りと構成の明確化
原作では、悦子(Etsuko)が1980年代のイギリスで娘・ニキに向けて語る回想という形式が中心です。1950年代の長崎での出来事は断片的に描かれ、記憶の曖昧さや語り手としての信頼性の不確かさが、物語に含みや余韻をもたらします。
映画では、時代や場所(長崎 vs イギリス)の切り替えがよりはっきりし、映像を通じて過去と現在の対比が強調されています。広瀬すずと吉田羊がそれぞれ悦子の異なる時代を演じ分けることで、感情の厚みと視覚的対比が増しています。
2. 「曖昧さ」の処理の違い
原作は語り手・悦子の心理や記憶の不確かさこそが主題であり、読者は「現実なのか記憶なのか」「悦子と佐知子は同一人物なのか」といった解釈を巡らせる余地があります。
映画ではこの曖昧な構造をやや説明的に描き、観客にとって理解しやすいミステリー性に変換されています。そのため、原作の持つ不安定さや余韻はやや薄くなったという評価もあります。
3. 映像美と感情の強調
原作は内省的で含蓄ある文体を通して、記憶や沈黙の奥にある真実を慎ましく描きます。
映画では、美術やロケーション、色彩設計など、視覚的表現により「映像ならでは」の感情の深さや厚みが加わりました。「戦後の明るい長崎」と「現在の寒色系イギリス」の対比など、映像美が物語をよりドラマチックに演出しています。
4. 原作者・監督の姿勢と「解釈の進化」
原作者イシグロ氏自身は、映画化について表現の進化を歓迎しており、物語が「厳密な翻訳」ではなく、「違ったメディアで成長すること」を望んでいると語っています。まるで「昔話が語り継がれるように」—映画もまた新たな命を得て時代を越えていくべきだという考えです。
監督・プロデューサー陣は、原作のテーマ(戦後/語りのミステリー感/信頼できない語り手)を尊重しつつ、新たな世代の感覚でアップデートすることを目指したと語っています。特に、「平和や自由の大切さを伝える」視点が現代的な切り口として加えられました。
総評
映画『遠い山なみの光』は、原作小説の中核的なテーマ(記憶、語りの曖昧さ、戦後の女性)を大切にしつつ、映像ならではの演出と明確な構成によって、観客に伝わりやすい仕上がりになっています。イシグロ氏自身も「物語が豊かに広がること」を承認しており、原作とは異なる新たな作品として独立した存在になっている点が大きな魅力です。
映画のロケ地:実際の撮影場所

長崎の美しい風景と映画の印象
こちらは映画『遠い山なみの光』のロケセットや長崎の風景を切り取ったイメージカットです。雰囲気たっぷりなレトロな街並みや、印旛沼に再現された昭和の長崎の町並みなどが写されています。
映画の主な撮影ロケ地
映画では以下のような場所を舞台に撮影され、物語に深みを加えています。
1. 長崎市内(ロケ実地)
稲佐山
主人公・悦子の記憶に重なる景色として、稲佐山からの眺望が象徴的に描かれています。ロープウェイも劇中で「ケーブルカー」として登場します。
市電の操車場や浜屋デパート、平和公園
市電が交差する操車場、昔ながらの浜屋デパート、そして平和公園内の象徴的なモニュメント(“白い巨像”)など、戦後の長崎らしい風景が実在のロケ地として使用されています。
2. 千葉県・印旛沼(セット撮影)
手繰川沿いのレトロセット
昭和の長崎の街並みを忠実に再現するため、印旛沼周辺にセットが組まれました。「浜屋百貨店」や赤レンガの壁、狭い路地、細かな小道具まで再現され、まるで当時の長崎に迷い込んだような臨場感があります。
セットの美術的工夫
平坦な土地である印旛沼に坂の雰囲気を出すため建物の配置や高さ、道の配置が細かく工夫。観客に“本当に昭和の長崎にいる感覚”を届けるための美術スタッフの情熱が凝縮されています。
撮影当時のエピソード
地元の人々もセットを見学に訪れ、「タイムスリップしたようだ」と驚く声も。広瀬すずさんたちも役に入りやすかったと語るなど、俳優にも強い印象を残しました。
3. イギリス(現代パート)
ロンドン郊外および南部の住宅地や田園風景
1980年代のイギリスを舞台にした現代パートの撮影は、静謐な郊外や田園風景で行われました。悦子が娘と暮らす家や静かな背景は、長崎の過去と対照的になり、映像的にも時間の隔たりを明確にしています。
ロケ地
ロケ地 | 撮影内容・特徴 |
---|---|
長崎市内(稲佐山、市電、平和公園など) | 実際の昭和期の風景。記憶や象徴を映像に取りこむ |
千葉・印旛沼(手繰川沿いセット) | 昭和の長崎を再現したセット。細部までこだわった美術 |
イギリス・郊外・田園 | 現代(1980年代イギリス)のシーン。静謐な映像世界 |
本作では、実際の長崎の風景と、印旛沼に再現された昭和の長崎セット、そしてイギリスでの撮影を重層的に組み合わせることで、記憶と現実、過去と現在という対比を鮮やかに映像化しています。監督の「長崎の手触りを残したい」という思いが、場所選びやセットづくりに息づいています。
『遠い山なみの光』のレビューと評価
映画『遠い山なみの光』(2025年9月5日公開)は、カズオ・イシグロの同名小説を原作に、石川慶監督がメガホンを取った日本・イギリス・ポーランド合作のヒューマンミステリーです。第78回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品されるなど、公開前から注目を集めていました。
作品概要
- 監督・脚本・編集:石川慶
- キャスト:広瀬すず(若き悦子)、吉田羊(現在の悦子)、二階堂ふみ(佐知子)、松下洸平(二郎)、三浦友和(緒方)
- 上映時間:123分
- 配給:ギャガ
レビュー・評価
Filmarks(ユーザー評価)
総合評価:3.8/5(2025年8月18日現在)
「ミステリー映画としてラストの畳み掛ける演出、終盤で明かされるトリックが良かった」「文学としての話を見事に映画として脚色したところが良かった」などの声が寄せられています。
映画.com
評価:4.0/5(2025年8月10日現在)
ユーザーからは「女性としての生き方を学ぶ」「広瀬すずの演技が光る」などの感想が寄せられています。
Hollywood Reporter Japan
「カズオ・イシグロの名作を丁寧すぎるほどに映像化」「交錯する2つの時間軸」「戦後日本の女性像と世代間の葛藤」「曖昧さが薄れた映像化」など、作品の特徴が詳述されています。
キャストの演技
広瀬すず:若き悦子役として、戦後の長崎での静かな暮らしと内面の葛藤を見事に表現しています。
吉田羊:現在の悦子役として、過去の記憶と向き合う姿が印象的です。
二階堂ふみ:佐知子役として、奔放なシングルマザーの魅力を存分に発揮しています。
松下洸平:二郎役として、傷痍軍人の複雑な心情を巧みに演じています。
三浦友和:緒方役として、古き良き時代の紳士を体現しています。
ロケ地
長崎市内:稲佐山、市電、平和公園など、実際の昭和期の風景が使用されています。
千葉県・印旛沼:昭和の長崎を再現したセットが組まれ、細部までこだわった美術が施されています。
イギリス:1980年代のイギリスを舞台に、静謐な郊外や田園風景が描かれています。
まとめ
総合的に見て、この映画は単なる文学作品の映画化にとどまらず、文学・映像・国際文化交流の橋渡し役として、今後も長く語り継がれる可能性があります。
『遠い山なみの光』は、原作の持つ深いテーマ性を丁寧に映像化した作品です。キャスト陣の演技や美術、音楽など、各方面で高い評価を得ています。一方で、原作の曖昧さを映像で表現する難しさから、賛否が分かれる部分もあります。全体としては、原作ファンのみならず、多くの映画ファンにとっても鑑賞に値する作品と言えるでしょう。
最後まで読んで頂きありがとうございました。